54弾
シリーズ生活習慣病 第54弾!2010.12月号
「永遠の誤解 Part 1 」
かねしろ内科クリニックが開院して、6年目となります。
過去を振り返ってみると、様々なドラマがあり、
そんな中で繰り返し起こる、『永遠の誤解』と、いう名のよくある笑い話。
今回は、その一部をご紹介しましょう。
永遠の誤解 その① 「採血=必ず空腹で」
健診や人間ドックなどでは、空腹時の血糖や中性脂肪の値を調べるので、
つい、”採血は空腹でするもの”、と思われがちです。
しかし実は、糖尿病や脂質異常症の治療では、”食後の値”が大切なことが分かってきました。
色々食べてきて検査をすれば、「これって、こんなに血糖値をあげるんだ!」
「これを食べるとあがりにくいのね。」が、経験で分かるからです。
是非、食後採血をして、「今日は○○を食べて△時間後の採血だ。だからこうなんだ。」
と、御自身で分かるようになるといいですね。
特に、「空腹で来院してください。」と、言われない限り、食事をしてきて大丈夫ですよ。
永遠の誤解 その② 「朝食抜き=薬も抜き」
今度は、「空腹で来院してください。」と、医師から指示が出た場合。
糖尿病の薬の大半は、これで結構です。薬の効果が食事と関係あるからです。
食事する = 血糖値があがる → 薬で下げる ので、
食事抜き = 血糖値あがらない→ 薬要らない からです。
しかし、血圧の薬の場合は違います!
食事をしてもしなくても、血圧は薬を飲まないと上がってしまいます。
食事を抜いたとしても、いつもの時間に血圧の薬だけは飲みましょう。
その他の薬も、食事と関係なく飲むことが必要な薬がたくさんあります。
食事を抜く検査をする場合は、主治医もしくは薬剤師さんに必ず確認しましょう。
永遠の誤解 ③ 「間食はしなかったけど、○○は…」
糖尿病を持つ人は、血糖値が高く、次の食事の前でもなかなか血糖値が
下がらないことが大半です。
と、いうことは、体内のインスリンも、血糖値を下げる仕事が多くて働きっぱなし…。
間食がよくない理由はこれなのです。
それなのに、診察では、「だって、一口だけよ。」、「ガム1個だけなのに。」、
「アメをなめただけですから。」なんて会話がしばしば…。
血糖値は、その「一口」でも「ガム1個」でも、「アメ」でも上がります。
糖尿病のない方は、それに対して適切に体内からインスリンが出るので
大きな変動はないのですが、糖尿病のある人は、人によっては、
それだけで100近くも血糖値が上がることもあるのです。
これでは、血糖値を下げる時間がなくなってしまいます。
さらに、働きすぎているインスリンにますます仕事が加算されてしまうのです。
だから、「その一口でも”アウト!”」なのです。
これは、是非理解して欲しいなぁ…。