23弾
シリーズ生活習慣病 第23弾!2008.06月号
糖尿病のお薬(その4)
「○○さん、そろそろインスリン注射を・・・」
糖尿病のお薬を飲んでも効かず、長年HbA1c7.0%以上が続くと
一般的に患者さんにとって、あまり嬉しくない会話が始まります。
「いや、それだけは・・・。あと一ヶ月待って。」
そうおっしゃって、半年~1年引き伸ばしたり、来院しなくなったりするケースをよく耳にします。
『注射』が嫌、『針が怖い』、『イメージが悪い』など、様々な理由があるからだと思いますが、
実はコレ、患者さんにとって『大損』になってしまうのです。
なんと、インスリン治療は、早く始めれば早くやめられる可能性があるのです。なぜなら・・・
・体内で、インスリンを出す細胞(β細胞)が、
・高血糖により攻撃され、細胞の数が減ってきてしまい、
・インスリンを出す量が減り、
・さらに高血糖になってしまう
・・・と、いう悪循環を、
[1] インスリン(ホルモン補充)注射をすることで・・・
↓↓
- メリット1
インスリンの量が補充され、高血糖が改善される。
そうすると、β細胞への攻撃が減り、(β細胞の)数が減らなくて済む。 - メリット2
高血糖を改善する作業を、注射によるインスリンが手伝ってくれるので、
体内のインスリンの負担が減る。 - メリット3
負担が軽くなった、体内のインスリンはまた元気になってきて、血糖値を下げる力が復活する。 - メリット4
悪循環が好循環となり、インスリン注射をやめることが出来る!
[2] 逆に、インスリン治療を先延ばしにしてしまうと・・・
高血糖 → 体内のβ細胞攻撃 → β細胞死滅 → 体内でインスリンが作られなくなる
↓↓
一生インスリン注射!
・・・となってしまい、本当にこれは、『大損』です。
一生インスリン注射をしなくてもいいように、早く治療を始めたいですね。
インスリンは、基本的には1日4回(毎食事・就寝前)打ちます。
現在、インスリンの種類がたくさんあり、その方の生活などに合わせたインスリンのタイプと
打つ回数(1回~4回)を選んで使うようになっています。
また、最近では、「そろそろインスリンを出す準備をしてネ!」
と、β細胞に軽く命令してくれる優しいホルモン(GLPー1)が発見され、
限られた施設で治験を行っています。
インスリンと同じような注射の打ち方で、体内に入れます。
1日、1~2回打ちで良いそうです。
他にも当院で治験に御協力いただける一部の患者さんには
様々なお薬を使っていただいてます。
なかなか好評のようですヨ!