32弾
シリーズ生活習慣病 第32弾!2009.03月号
「バランスです!」
今回は、コレステロールの数値についてお話しします。
2007年の2月より、心筋梗塞など動脈硬化性疾患の予防や治療の指標を、
「総コレステロール」から、
「LDL(悪玉)コレステロール」と、「HDL(善玉)コレステロール」とし、
を、目指しましょう!と、お話ししてきました。
最近は、この、「LDL(悪玉)コレステロール」と、「HDL(善玉)コレステロール」の2つの
バランスが大事で、
と、この比率にしなければ、動脈硬化が進むということが分かりました。
心筋梗塞を起こした方の多くが、「LDLは正常範囲内なのに、HDLの割合が少なかった」
と、いう研究からも明らかです。
HDLが少ないともっともっとLDLを下げないとならないのです。
何事もバランスが大切ということですね。
バランスといえば、
昨年、ある特定の果物だけを食べるダイエットが騒がれていました。
甘く、食べやすいものだから、当院にお通いの方も、何人か試されていましたが、
結果は…
「主食・主菜・副菜。この3つを1日3回そろえて食べないと、栄養バランスが偏り、
他の病気にかかりやすくなります。
また、果物ばかりは食事より多くの糖分をとることになるので、血糖値が上がり
やすいのです。健康的なダイエットとはいえませんから、きちんと食事をしましょうね。」
…と、ウチの管理栄養士さんもバランスが大事とよく言います。
これを守ると結果は、もちろん『◎』です!!
バランスって大事ですね。
31弾
シリーズ生活習慣病 第31弾!2009.02月号
「免停にご注意!?」
ある日、「胸が痛い」と、飛び込み来院の患者さん。
最終的には薬の処方で済みました。
しかし、家族歴をお聞きすると、「父は突然亡くなり・・・心不全とか診断され・・・」
私はこのフレーズを聞き逃しません。
家族に糖尿病患者さんはおらず、「心臓で」、「脳溢血で」・・・
昔は糖尿病の診断がつかず、分からないまま心筋梗塞や脳梗塞で亡くなった方が
かなりおられました。
私の予想は当たってしまい、
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー/過去1~2ヶ月の血糖の平均)は、
なんと11%以上という、かなり高い数値でした。
入院してもおかしくない数値です。
御本人は、”寝耳に水!”くらい、相当困惑され、今まで採血検査をしなかった事を後悔…。
当院の管理栄養士と1時間程お話しされ、
「よしっ!治す!!」と、意欲的に生活習慣を見直しされていました。
別のある日。
高速が渋滞し、「降りたらすいているはず」と、道を熟知している私の予想はピタリ。
スイスイ走っていると、真っ赤な旗が・・・。
なんと免停になってしまいました。
「ちょっと位大丈夫」というのは、ダメ!本当にダメです。(いや、ダメでした…)
やはり糖尿病、高血圧、脂質異常症は、
放っておくといつか免停ならずとも取り返しのつかない合併症へ一直線。
生活にかかわること、命にかかわることは、甘く考えてはいけません。
もう金城先生は違反しません。
スタッフの皆と約束したので・・・
( ↑「当たり前ですよおっ!先生1人の身体じゃないんですからぁああ(怒)!!」 スタッフより )
皆さんも健康に注意し、安全な生活を送られることを望みます。
30弾
シリーズ生活習慣病 第30弾!2009.01月号
「おかえりなさい」
新年明けましておめでとうございます。
皆さんはお餅を何個たべましたか?
当院の患者さまで、1回に1個と答えた方は、
皆、この宴会ラッシュの続く年末年始に関わらず、
糖尿病の数値を良くしていらっしゃいました。
大変素晴らしいことです。
一方、お餅は1回に2個…と答えた方は、
やはり数値は悪くなっていました。
3個以上・・・は、皆さんのご想像通りだと思います。
美味しいものは、上手に味わいましょうね。
さて、糖尿病のお話をするとき、
「HbA1c 5.5%以下を目指しましょう!!」
(ヘモグロビン・エー・ワン・シー/過去1~2ヶ月の血糖の平均)
と、当院では○○の一つ覚え(むしろ呪文?!)のように厳しくお話ししていますが・・・
昨年のある日、10年以上HbA1c6.5%以上なのに、
「大丈夫だよ先生、俺元気だから」
と、合併症の危険を信じない患者さんが来院されました。
数ヵ月後、「最近歩くと胸が重く・・・」
その瞬間!
私の右手は紹介状を殴り書き。
「○○さん!今すぐ循環器内科に行かないとホントに危険ですっ!!」
もう、立て板に水鉄砲(?)の如くまくしあげ、患者さんはやっと事の重大さに気が付きました。
後日、循環器内科医から、「冠動脈、しっかり詰まっていましたよ。」と、報告が。
3本ある心臓の血管のうち1本が90%、もう1本が99%閉塞して(詰まって)おり、
間一髪ということでした。
その後、見事に生還してきた患者さん曰く、
「かねしろ先生。もう何でも聞くからさ、また来てもいいかなぁ?」
我々は患者さんが元気で笑っている姿を見るのが趣味。
怒るどころか、
「もちろんです!!おかえりなさい!!!」
今年も元気に笑顔で来院されることをお待ちしています。
29弾
シリーズ生活習慣病 第29弾!2008.12月号
「糖尿病も二極化!?」
今年はお陰様で分院が大和市(鶴間駅)に無事開院致しまして、
相模原市(東林間駅)と同様、糖尿病患者さんが次々来院されました。
ウチの管理栄養士達も、皆様の療養生活についての相談を、額に汗して頑張ってくれています。
そんな中、患者さんのデータを拝見していると、大きな特徴があることに気が付きました。
二極化です。
だいぶ悪くなってから来院されるのはよくあることですが、発症前の境界型の
段階で来院されるパターンが増えてきました。
健康に対する皆様の意識の高さは賞賛に値します!素晴らしい!!
今年の5月の話ですが、東京で日本糖尿病学会があり、改めて境界型の
段階で改善することの大切さが確認されました。
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー/過去1~2ヶ月の血糖の平均)が、
5.4%を超えると糖尿病を発症する可能性が高まり、動脈硬化は進みます。
今年の4月から始まった特定健診では、5.2%から保健師・管理栄養士など
による生活改善の指導が入るようになったというのは、(糖尿病の)精密検査を
してみると、5.2%の段階でも『境界型』とはっきり分かるからです。
私はどうかといいますと、会食や飲み会が多いので、うっかりすると、HbA1c5.2%…
(笑えない…)
ちょっとした所は歩く!歩く!!、野菜山盛り食べる!食べる!!
…で、翌月はHbA1c4.8%へ。
ちなみにLDL(悪玉)コレステロール62、中性脂肪63、γ-GTP16…
「凄い!」「不公平だ!」「おかしい!」「ウソでしょ!?」
と、我がスタッフから非難めいたコメントの嵐(怒~)!!
もうすぐボーナスとも皆気付かず・・・(フッフッフッ)
28弾
シリーズ生活習慣病 第28弾!2008.11月号
血糖は24時間営業
ある日の夜中、私の携帯が鳴りました。
「先生、夜中にスミマセン。昼からインスリンを打たなかったら手が震えてきて・・・怖い・・・。」
極度の脱水と高血糖、電解質異常・・・
もう少しで昏睡状態になるところでしたが、すぐ対処をして1時間後、無事に元気になりました。
御連絡いただけて良かったです。
かねしろ内科クリニックでは、一部のインスリン治療中の方やその他御心配のある方のために、
携帯電話・PHS・自宅電話で24時間対応をしています。
血糖コントロールの状況をメールでお知らせいただいている方もおります。
運動・食事療法を患者さんは24時間頑張っていらっしゃるのです。
我々が手を抜くわけにはいきません。
手段を選ばず、ステキな結果になるよう、お手伝いしております。
おかげ様で今月の24日で当院は開院してから丸3年となります。
今年の6月には、大和市の鶴間駅近くに分院が出来、スタッフも倍となりました。
ますます賑やかに、元気いっぱいに、皆さんの療養生活を支援していきますので、
一緒に楽しく頑張って行きましょうね!
27弾
シリーズ生活習慣病 第27弾!2008.10月号
小さな頃から運動習慣を
「駅から15分?!遠いね、その店!」
先日、こんな会話を耳にしました。
忙しいときは別として、私は出来るだけ歩くようにしていますが、
この15分という微妙な時間を長く感じる人と、なんともないと思う人の違いは
どこにあるのでしょう??
当院では、運動療法の一環として、春・秋の木曜日の昼には患者さんとウォーキングを行っております。
現在のテーマは、『腕』です。
歩くとき、肘を直角に曲げ、後ろに引くときには肘テツをするように力を入れると、
良い腕のトレーニングになります。
小さな頃から運動習慣をつけ、糖尿病を発症させないように頑張りましょう。
(もちろん、今からでも遅くありません!)
ちなみに当院は、東林間駅改札を出て、右に行くと20秒で着いてしまいます。
鶴間の分院も、鶴間駅の目の前のビル…。
ちょっと遠回りしないと・・・(笑)
26弾
シリーズ生活習慣病 第26弾!2008.09月号
今日から始めましょう
「暑くて運動していないから太っちゃって…。来月から頑張ります。」
こんな会話が、8月は多かったです。本当に、暑い日が続きましたものね。
でも、この会話、ちょっと残念。
この会話から2つの思い違いをしていることがわかります。
それは…
- 太るのは運動不足だけでなく、食事のカロリーが多かったためです。
暑くてつい、アイスやジュース、または果物…。
麺類も実はいつものご飯のカロリー以上に食べていた、なんて思い当たることは??
実は、ケーキ1個を消費するには、1時間歩いても難しいくらいです。
やせる基本は食事にあるのです。 - 運動をすすめるのは、『やせるため』だけではありません。
糖尿病の場合、『血糖を下げるインスリンというホルモンの、”効きをよくする身体”を作る』
のが目的です。
運動により、私たちの細胞はインスリンが効きやすくなり、同じ量のインスリンでも血糖が
よく下がるようになります。
しかし、運動を2日空けるとその効果はもとに戻ってしまうので、少なくとも1日おきには
運動をしないといけませんね。
ついでにもう一つ。
運動の目的は、『筋肉の保持』もあります。
運動不足だと足、特に太ももの筋肉が落ち、寝たきりの原因になります。
余分な脂肪を落とし、インスリンの効きを良くし、将来寝たきりにならないためにも、
「来月から」ではなく、「今日から」頑張りましょう!
25弾
シリーズ生活習慣病 第25弾!2008.08月号
『つながる』こと
午前1時、偶然夜遅く帰宅し、居間でお茶をすすっていた瞬間、私の携帯電話が鳴りました。
「Aさん、どうしたの?」
「熱が出て…腰の辺りが痛く、膀胱炎のひどいのかと…。
血糖も下がらないし、夜中にスミマセン。」
インスリン治療中のAさんです。
Aさんは腎炎(感染症のひとつ)になりかけていたのです。
糖尿病の方は、風邪などの感染症にかかると、血糖がいつもより上がってしまいます。
何も食べなくても血糖値が高くなるというワケです。
だから、「血糖も下がらないし…。」と、Aさんはおっしゃったのでした。
Aさんの場合、今回は、抗生剤を飲むことと、
インスリン量の調整(いつもより必要量が多くなります)について説明し、事なきを得ました。
電話がつながって良かったです。
『つながる』と、いえば、
患者さんの情報が、スタッフ間でつながることも重要です。
医師だけではなく、看護師、管理栄養士、受付と、スタッフ全員が、
患者さんの情報(“ここだけの話”は別!)を共有することで、
患者さんに対し、『自分達は何をして差し上げられるのか』を、
考え、実行することができるのです。
これが、チーム医療、チーム一丸の高いホスピタリティーにつながるのです。
もうひとつ、私のコラムの愛読者の1人である某編集長さんが、
6月に当院に取材にいらっしゃいました。
「各スタッフが1つにつながって、素晴らしいチーム医療が…!」
いえいえ、我々だけでなく、患者さんとも編集長さんともしっかりつながっていますよ!
24弾
シリーズ生活習慣病 第24弾!2008.07月号
いいんです!!
「全く何度言っても・・・」、「いつまでたっても・・・」と、
『我が子への 口からもれる 親の愛』 (←川柳?)
私の大好きな次男は、生まれつき障害児(遺伝子疾患)のため、発達が遅く、
分かってはいるものの、つい激励(?)が漏れてしまいます。
心筋梗塞目前や、失明寸前の患者さまに、「なぜ間食がやめられないの?」と、
つい檄(げき)を飛ばすこともありますが、ほとんど親の気持ちと同じ、「心の叫び」・・・。
間食をしても、肥満になっても糖尿病を発症しない人がいる中、
「なぜ私だけ?」
と、やりきれない気持ち、よく分かります。
でも、『遺伝子のなせる業(わざ)』には勝てないのです。
糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、痛風(高尿酸値血症)、肥満・・・
すべて、遺伝子と生活習慣が関係するものです。
現在の医学では、遺伝子を治す治療法がないため、生活習慣をより健康的にするのが、
治療手段となるため、御本人の努力が必要となりますが、
人間ですから限界がありますよね。。。
いいんです!
我々スタッフが、皆さんのライフパートナーとしてお手伝いを致しますから。
その代わり、しっかりとついて来て欲しいのです。
クリニックが手狭になったため、6月2日に小田急鶴間駅前に分院を作りました。
東林間と鶴間、2つのクリニックをあわせると、医師9名、看護師8名、管理栄養士6名、受付5名と、
大変賑やかになりました。
皆様の、「合併症なく楽しい人生」を、スタッフ一丸となってお手伝いをさせていただきます。
私の次男と共にに頑張りましょうね!
23弾
シリーズ生活習慣病 第23弾!2008.06月号
糖尿病のお薬(その4)
「○○さん、そろそろインスリン注射を・・・」
糖尿病のお薬を飲んでも効かず、長年HbA1c7.0%以上が続くと
一般的に患者さんにとって、あまり嬉しくない会話が始まります。
「いや、それだけは・・・。あと一ヶ月待って。」
そうおっしゃって、半年~1年引き伸ばしたり、来院しなくなったりするケースをよく耳にします。
『注射』が嫌、『針が怖い』、『イメージが悪い』など、様々な理由があるからだと思いますが、
実はコレ、患者さんにとって『大損』になってしまうのです。
なんと、インスリン治療は、早く始めれば早くやめられる可能性があるのです。なぜなら・・・
・体内で、インスリンを出す細胞(β細胞)が、
・高血糖により攻撃され、細胞の数が減ってきてしまい、
・インスリンを出す量が減り、
・さらに高血糖になってしまう
・・・と、いう悪循環を、
[1] インスリン(ホルモン補充)注射をすることで・・・
↓↓
- メリット1
インスリンの量が補充され、高血糖が改善される。
そうすると、β細胞への攻撃が減り、(β細胞の)数が減らなくて済む。 - メリット2
高血糖を改善する作業を、注射によるインスリンが手伝ってくれるので、
体内のインスリンの負担が減る。 - メリット3
負担が軽くなった、体内のインスリンはまた元気になってきて、血糖値を下げる力が復活する。 - メリット4
悪循環が好循環となり、インスリン注射をやめることが出来る!
[2] 逆に、インスリン治療を先延ばしにしてしまうと・・・
高血糖 → 体内のβ細胞攻撃 → β細胞死滅 → 体内でインスリンが作られなくなる
↓↓
一生インスリン注射!
・・・となってしまい、本当にこれは、『大損』です。
一生インスリン注射をしなくてもいいように、早く治療を始めたいですね。
インスリンは、基本的には1日4回(毎食事・就寝前)打ちます。
現在、インスリンの種類がたくさんあり、その方の生活などに合わせたインスリンのタイプと
打つ回数(1回~4回)を選んで使うようになっています。
また、最近では、「そろそろインスリンを出す準備をしてネ!」
と、β細胞に軽く命令してくれる優しいホルモン(GLPー1)が発見され、
限られた施設で治験を行っています。
インスリンと同じような注射の打ち方で、体内に入れます。
1日、1~2回打ちで良いそうです。
他にも当院で治験に御協力いただける一部の患者さんには
様々なお薬を使っていただいてます。
なかなか好評のようですヨ!