223弾
第223弾 レスキュー隊 前編2025.03月号
「息子さーん、2階のガラス割って入りますよ」
現場は緊迫していた。
前日の午後を最後に連絡が取れず、警察に依頼、
先に実家に到着した警察官から携帯電話が鳴り、
「お母さん、玄関先で声がするが開けてくれない。
開けられないのかもしれない」と。
ほどなく金城先生も現場に到着、鍵を開けようにも、
昔の古い鍵もかけてしまっていたためドアは開かず、
声をかけてもなにやら様子がおかしい。
まるで認知症のような会話、そして動いている気配がない…
「鍵開け業者は時間がかかりそうで、それを待っていると…
レスキュー隊出動させます」
と言い終わる前から答えは決まっていた、(お願いします)と。
ややもすると20時間以上、玄関で意識を失い倒れていたのか?
真冬でないにしろ、低体温になっていないか?
様々な憶測が脳裏をかすめていったその時、レスキュー隊が到着。
隊長さんが家を一周し「ハシゴ持ってきて」と指示を出す。
「あの窓がベストだな」
できるだけ家に被害がないようにという取り計らいのもと、
救出作戦が始まった。
(パンッ)とガラスの割れる音がした。
(さすが、プロは違う…)
と思うが早いか、玄関に隊員到着。
「14時11分、現認」
玄関のドアが開いた…(来月につづく)